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経営・管理ビザ

【経営・管理ビザ】2025年10月改正後の取得条件は?資本金3,000万円など6つの新基準を行政書士が解説

公開日: 2026-07-11
行政書士 青島一平

行政書士監修

あおしま行政書士事務所

代表 青島一平

この記事は一般的な参考情報であり、法的助言ではありません。個別のケースについては行政書士等の専門家にご相談ください。

経営・管理ビザ(正式名称:在留資格「経営・管理」)は、外国人が日本で会社を経営し、または事業の管理業務に従事するための在留資格です。かつての「投資・経営」ビザの後継にあたり、日本で起業を目指す外国人にとって中心的な在留資格となっています。

最初に、この記事で最も重要な事実をお伝えします。経営・管理ビザは、2025年10月16日施行の省令改正(上陸基準省令・施行規則の一部改正)により、許可基準が抜本的に厳格化されました。 インターネット上には改正前の「資本金500万円」を前提とした古い解説記事が今も大量に残っています。旧情報のまま準備を進めると、申請は確実に失敗します。 この記事は、改正後の現行基準(2025年10月16日〜)に基づいて解説します。

経営・管理ビザとは──2025年10月に基準が抜本改正

今回の改正の背景には、実体のない会社設立による在留資格の濫用を防止するという目的があります。形式的に会社を作れば取得できるビザから、「実体を伴った経営活動」を行う人のためのビザへと、制度の性格そのものが転換されました。

改正前と改正後で、要件がどう変わったのかを一覧で比較します。

| 項目 | 改正前(〜2025/10/15) | 改正後(2025/10/16〜) | |---|---|---| | 事業規模 | 資本金等500万円以上 または 常勤職員2名以上(選択制) | 資本金等3,000万円以上 かつ 常勤職員1名以上(両方必須) | | 日本語能力 | 要件なし | 申請者または常勤職員がB2相当以上(新設) | | 経歴(学歴・職歴) | 経営者は不問(管理者のみ経験要件) | 修士以上の学位 または 経営・管理経験3年以上(新設) | | 事業計画書 | 提出のみ | 中小企業診断士・公認会計士・税理士の確認が義務(新設) | | 自宅兼事務所 | 条件付きで可能な余地 | 原則不可(明記) |

ご覧のとおり、単なる金額の引き上げではなく、日本語能力・経歴・専門家確認といったまったく新しい要件が複数追加されています。

この記事では、改正後の6つの取得条件を1つずつ解説し、最後に、既に経営・管理ビザで在留中の方向けの経過措置(2028年10月16日まで)について詳しく説明します。なお、新規申請には新基準が全面適用される一方、既存保有者の更新には経過措置があるため、「これから取る人」と「既に持っている人」で結論が大きく異なります。ご自身がどちらの立場かを意識しながら読み進めてください。

ポイント1:資本金等3,000万円以上(500万円から6倍に)

📖このセクションで分かること: 改正で最も大きく変わった資本金等の要件。法人と個人事業主とで「3,000万円」の意味がどう違うのか、そして「合算」が認められない範囲。

新規申請において、改正のインパクトが最も大きいのがこの要件です。事業の規模として、資本金等(申請に係る事業の用に供される財産の総額)が3,000万円以上であることが必要になりました。改正前の500万円から、実に6倍への引き上げです。

「3,000万円」が具体的に何を指すかは、法人か個人事業主かで異なります。

  • 法人の場合 — 株式会社であれば払込済資本の額(登記上の資本金の額)、合名会社・合資会社・合同会社であれば出資の総額を指します。
  • 個人事業主の場合 — 資本金という概念がないため、事業所の確保、職員の給与(1年分)、設備投資の経費など、事業を営むために投下されている総額で判断されます。直近年度の決算文書等で証明します。

ここで特に注意すべきなのが、「合算」が認められないという点です。出入国在留管理庁の公式Q&Aで明示されているとおり、資本準備金・資本剰余金・利益剰余金は資本金等に含まれません。従業員の給与や事務所の維持費と足し合わせて3,000万円とすることもできません。法人の場合、純粋に登記上の資本金(出資総額)として3,000万円が必要です。

さらに、複数の会社を経営している場合でも、各社の資本金を合算することはできません。いずれか1社単体で3,000万円以上を満たす必要があります。また、「経営者」ではなく「管理者」として申請する場合であっても、事業側がこの資本金等の要件を満たしていなければなりません。

なお、資金の出所(形成過程)の立証は改正前から実務上求められてきたものであり、出所を説明できない資金──いわゆる「見せ金」──が通用しないのは、改正後も当然に変わりません。

3,000万円は「口座に一時的にあればよい」金額ではありません。法人なら登記上の資本金として、個人事業主なら事業に実際に投下された総額として、客観的に証明できる必要があります。資金計画は、申請準備の最初期の段階から設計しておくべき項目です。

ポイント2:常勤職員1名以上の雇用(新設・在留資格に制限あり)

📖このセクションで分かること: 新たに義務化された常勤職員の雇用要件と、「誰を雇えばカウントされるのか」という最大の落とし穴。

改正前は、資本金500万円以上があれば従業員ゼロでも申請が可能でした。改正後は、資本金等3,000万円に加えて、申請者が営む会社等において1人以上の常勤職員を雇用することが必須となりました。「または」ではなく「かつ」です。

そして、この要件には最大の落とし穴があります。カウントされる職員の在留資格に制限があるのです。この雇用要件の対象としてカウントされるのは、次のいずれかに該当する人だけです。

  • 日本人
  • 特別永住者
  • 「永住者」の在留資格を持つ外国人
  • 「日本人の配偶者等」の在留資格を持つ外国人
  • 「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人
  • 「定住者」の在留資格を持つ外国人

つまり、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格(入管法別表第一)の外国人は、何人雇ってもこの要件の1名にはカウントされません。外国人スタッフを中心に事業を組み立てている場合、雇用計画そのものの見直しが必要になる可能性があります。

「常勤」かどうかの判断基準も、公式Q&Aで具体的に示されています。週の労働日数が5日以上かつ年間217日以上であり、かつ週の労働時間が30時間以上であること、雇用保険の被保険者であることなどが求められます。また、在籍出向・派遣・請負による人員は常勤職員とは見なされません。自社で直接雇用する必要があります。

なお、常勤職員が複数いる場合は、基準を満たす1名分の書類を提出すれば足ります。

「外国人スタッフを雇っているから大丈夫」という思い込みは危険です。技術・人文知識・国際業務など就労系ビザの職員は、この雇用要件では1名にカウントされません。採用・雇用計画の段階で、職員の在留資格を必ず確認してください。

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ポイント3:日本語能力(申請者または常勤職員がB2相当以上)

📖このセクションで分かること: 新設された日本語能力要件。申請者本人が日本語を話せなくてもクリアできる仕組みと、認められる5つの証明方法。

改正で新設された要件の1つが日本語能力です。申請者または常勤職員のいずれかが、「日本語教育の参照枠」におけるB2相当以上の日本語能力を有している必要があります。

ここで重要なのは、この要件における「常勤職員」の範囲です。日本語要件を担う常勤職員には、「技術・人文知識・国際業務」など入管法別表第一の在留資格の外国人も含まれます(公式Q&Aで明示)。ポイント2の雇用要件とは対象範囲が異なる点に注意してください。つまり、「雇用要件を満たす職員」と「日本語要件を担う職員」は別人でもかまいません

日本語能力の証明方法(日本人・特別永住者以外の場合)は、次の5つです。

  • 日本語能力試験(JLPT)N2以上の認定
  • BJTビジネス日本語能力テスト400点以上
  • 中長期在留者として20年以上日本に在留していること
  • 日本の大学等高等教育機関を卒業していること(専門学校・高専卒を含む。外国語課程・通信課程を除く)
  • 日本の義務教育を修了し高校を卒業していること(中学からの編入は不可)

公式Q&Aには、人員構成の組み合わせ例も示されています。たとえば「永住者の職員(日本語の立証なし)+技人国の職員(JLPT N2あり)」という2名体制であれば、永住者の職員が雇用要件(ポイント2)を、技人国の職員が日本語要件を満たすため、基準をクリアできます。逆に「技人国の職員(N2あり)のみ」の場合、日本語要件は満たせても雇用要件側の1名にカウントされる職員がいないため、基準を満たせません。

申請者本人が日本語を話せない場合でも、日本語能力を証明できる常勤職員を雇用すれば要件をクリアできます。ただし、雇用要件(ポイント2)と日本語要件とでは対象となる在留資格の範囲が異なるため、両方を同時に満たすよう人員計画をセットで設計する必要があります。

ポイント4:経歴──修士以上の学位 または 経営・管理経験3年以上(新設)

📖このセクションで分かること: 新設された学歴・職歴要件。「学歴・職歴不問」だった時代は終わり、経営者本人の経歴が問われるようになった。

改正前は、経営者として申請する場合、学歴・職歴は不問でした(経験要件があったのは「管理者」として申請する場合のみ)。改正後は、申請者本人が次のいずれかを満たすことが必要になりました。

  • 経営管理または申請に係る事業の業務に必要な技術・知識に係る分野に関する博士・修士・専門職学位を取得していること(外国で授与された相当学位を含む
  • 事業の経営または管理について3年以上の経験を有すること(在留資格「特定活動」による起業準備活動の期間を含む

注意すべきは、学士(大卒)では学位ルートを満たせないという点です。求められるのは修士以上であり、学士しか持っていない場合は、経営・管理の経験3年以上のルートで満たす必要があります。

学位の分野は「経営学」に限られません。申請する事業の内容に関連する分野の学位でもよく、海外のMBAや海外の修士号も対象になります。学位ルートと経験ルートのどちらに乗れるか微妙なケースでは、申請前に専門家に確認することをおすすめします。

ポイント5:事業計画書の「専門家確認」が義務に(新設)

📖このセクションで分かること: 事業計画書に新たに必要となった第三者確認。誰に頼めばよいのか、そして誰では駄目なのか。

改正により、在留資格決定時(在留資格認定証明書交付申請・在留資格変更許可申請)に提出する事業計画書について、計画の具体性・合理性・実現可能性を評価するものとして、経営に関する専門的な知識を有する者による確認が義務化されました。

施行日時点でこの「専門的な知識を有する者」に該当するのは、次の3つの国家資格者です。

  • 中小企業診断士
  • 公認会計士
  • 税理士

いずれも日本の資格に限られます。米国公認会計士(USCPA)など海外の同種資格では認められないことが、公式Q&Aで明示されています。

また、申請人の会社の役員や従業員は、客観性の観点から評価者になることができません。一方で、外部の顧問として契約している会計士・税理士であれば差し支えないとされています。

なお、この要件は「専門家の確認印をもらえば終わり」というものではありません。第三者である専門家が具体性・合理性・実現可能性を評価するという建付けである以上、専門家を納得させられる水準の事業計画を作り込むことが実質的に求められます。

ポイント6:事業所の実在と「経営の実態」

📖このセクションで分かること: 事業所に関する要件と、改正で明確化された「実態のない経営」の排除。取得後の在留・更新まで見据えたポイント。

事業所についても、改正で取扱いが明確化されました。自宅を事業所と兼ねることは、原則として認められません。改正後の事業規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要がある、というのがその理由です。なお、バーチャルオフィスについては、事業所の実在性の観点から改正前から実務上認められておらず、この点は改正後も同様です。

さらに、事業所が実在していても、経営者本人の活動実態が十分に認められない場合は、「経営・管理」に該当する活動とは認められません。公式Q&Aでは、業務の大半を外部に委託している、事業内容や財務状況を経営者本人が把握していない、といったケースが例として挙げられています。

長期出国にも注意が必要です。決定された在留期間のうち、累計でその過半を超える期間を再入国許可(みなし再入国許可を含む)により出国している場合、正当な理由がない限り、在留期間更新の審査で消極的に評価されます。

「登記だけして実際は母国で生活している」「経営は全部外注している」といった形は、改正後は明確に排除の対象です。経営・管理ビザは、取得の瞬間だけでなく、取得後の在留・更新まで一貫して「日本で自ら経営している実態」が問われます。

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【既に保有している方へ】2028年10月16日までの経過措置

📖このセクションで分かること: 既に経営・管理ビザで在留中の方に適用される経過措置の内容と期限。経過措置中でも審査される項目と、見落とされがちな「永住申請への影響」。

ここからは、既に経営・管理ビザで在留中の方に向けた解説です。新規申請とは結論が異なりますので、区別して読んでください。

まず適用の境界について。施行日前(2025年10月15日まで)に受付された申請には、改正前の許可基準が適用されます(受理日基準)。

そのうえで、既に「経営・管理」の在留資格で在留している方が施行日から3年間、すなわち2028年(令和10年)10月16日までに行う在留期間更新許可申請については、新基準に適合しないことのみをもって不許可にはなりません。経営状況や、新基準への適合の見込みなどを踏まえて総合的に判断されます。

では、3年の経過措置期間が終わった後はどうなるのか。3年経過後の更新は、原則として新基準への適合が必要です。ただし公式Q&Aによれば、経営状況が良好で、法人税等の納付義務を適切に履行しており、次回の更新までに新基準を満たす見込みがあるときは、その他の在留状況も含めて総合的に考慮されるとされています。つまり、資本金が3,000万円未満であることのみをもって一律に不許可になるわけではありません。「3年以内に3,000万円を準備できなければ帰国するしかない」という噂が一部で流れていますが、これは出入国在留管理庁が公式に否定しています。過度に不安になる必要はありません。

ただし、経過措置は「何もしなくてよい猶予」ではありません。経過措置の期間中であっても、次の項目は厳格に審査されます

  • 労働関係法令の遵守
  • 社会保険・雇用保険・労災保険の加入と保険料の納付
  • 税金の納付
  • 事業に必要な許認可の取得状況

公式Q&Aでは、これらに問題がある場合、経過措置とは関係なく更新が不許可となった事例があることが示されています。なお、経過措置期間中の更新審査においても、経営に関する専門家の評価を受けた文書の提出を求められることがあります。

そして、既存保有者にとって最も見落とされがちな盲点が、永住申請への影響です。施行日後は、改正後の基準に適合していない場合、「経営・管理」(および経営・管理の活動を前提とする高度専門職1号ハ・2号)からの永住許可は認められません。在留期間の更新には経過措置がありますが、永住申請には経過措置がありません。将来の永住を視野に入れている方にとって、この差は極めて重要です。

最後に、スタートアップビザ関係の適用関係にも触れておきます。スタートアップビザ(特定活動44号)から経営・管理への変更については、2025年10月15日以前に確認証明書の交付を受けていれば旧基準が適用され、それ以降は新基準が適用されます。特定活動51号(未来創造人材)についても、施行日前の申請・在留分には旧基準が適用されます。

経過措置は「猶予」ではなく「準備期間」です。特に将来の永住を視野に入れている場合、更新が通っている間であっても、新基準(資本金・雇用・日本語・経歴)への適合を計画的に進めていく必要があります。

まとめ:改正後の経営・管理ビザ 6つの条件

2025年10月16日の改正後、経営・管理ビザの取得に求められる条件を振り返ります。

  1. 資本金等3,000万円以上 — 法人は登記上の資本金(出資総額)、個人事業主は事業への投下総額。準備金・剰余金や他社との合算は不可
  2. 常勤職員1名以上の雇用 — 日本人・特別永住者・身分系在留資格(永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者)のみカウント。就労系ビザの職員は対象外
  3. 日本語能力 — 申請者または常勤職員のいずれかがB2相当以上(JLPT N2など5つの証明方法)
  4. 経歴 — 修士以上の学位(外国の学位を含む)または経営・管理の経験3年以上
  5. 事業計画書の専門家確認 — 中小企業診断士・公認会計士・税理士(いずれも日本の資格)による確認が義務
  6. 事業所と経営の実態 — 自宅兼用は原則不可。業務委託頼みの「名ばかり経営」は排除

既に保有している方には2028年10月16日までの経過措置がありますが、永住申請には経過措置がありません。改正によって要求水準が大きく上がった今こそ、申請前・更新前に、ご自身の状況が新基準に照らしてどの位置にあるのかを正確に把握することが重要です。まずは無料のAI診断で、現在地を確認してみてください。

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免責事項:本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。経営・管理ビザの許否は個々の事情により異なりますので、実際の申請にあたっては、入管業務を取り扱う行政書士等の専門家にご相談ください。本記事は、出入国在留管理庁の公表資料(2025年10月16日施行の改正ガイドラインおよび公式Q&A)に基づいて作成しています。